夢膨らむ昨日今日このごろ

さあーさあー。お立ち合い。お立ち合い。来たる3月9日の日曜は、午後4時から開幕決戦!

外郎売り
「拙者親方と申し候は、お立ち会いの中に、

ご存じのお方もござりましょうが、

お江戸を発って八里下方、

武州一宮氷川神社をお過ぎなされて、

大宮公園を上りへお出でなさるれば、大宮サッカー場、

只今は改装致して、ナックスタジアムと名乗りまする。

~。」

若き日。劇団研究生だった、かつての私は「原宿稽古場」「六本木稽古場」で、この口上を早口ことばで捲し立てて、一気に明日の夢を描いていたものだった。

気が向いたら、うまく声を出して、詰まらず云えるかどうか、文末に書きとめておこう。

さて、3月9日の「ナックスタジアム」チケットの予約も済んだ。

9日試合後の宿予約も終えた。

どんな選手が出るのだろう。どんなゲームになるだろう。どんな天気で臨めるだろう。

どんな「スタジアム」なんだろう。

アウェイゴール裏ほんとに真近かに、大宮公園サッカー場。
振り返ったゴールキーパー野澤洋輔の、あのころの、あの顔が、懐かしい。

希望に胸を膨らませて、3月9日がだんだんとやって来る。

思いっ切り応援しよう。勝たせよう。

そして、戦い終えて日が暮れて。帰り道。どんな余韻で歩いて帰るのだろうか。

はつ春に降る「なごり酒」の色は、どんな色に染められて行くのだろう。

それさえも、もうすべてが、夢膨らむ昨日今日このごろ。

「アルビレックス新潟」への春の想いが、季節のなかで各地を駆けめぐる。



外郎売り
拙者親方と申し候は、お立ち会いの中に、

ご存じのお方もござりましょうが、

お江戸を発って二十里上方、

相州小田原一色町をお過ぎなされて、

青物町を上りへお出でなさるれば、欄干橋虎屋籐右衛門、

只今は剃髪致して、円斉と名乗りまする。


元朝より大晦日まで、お手に入れまするこの薬は、

昔、陳の国の唐人、外郎という人、我が朝に来たり。

帝へ参内の折から、この薬を深く込め置き、

用いる時は一粒づつ、冠の透き間より取り出す。

依ってその名を帝より、とうちんこうと賜る。

即ち文字には「頂き,透く,香ひ」と書いて「とうちんこう」と申す。


只今はこの薬、殊の外、世上に弘まり、

方々に似せ看板を出し、

いや、小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと、

いろいろに申せども、ひらがなを以って

「ういろう」と記せしは親方円斉ばかり。


もしやお立ち会いの中に、

熱海か塔ノ沢へ湯治にお出なさるか、

また伊勢参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。

お上りならば右の方、お下りならば左側、

八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、

破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、

系図正しき薬でござる。


いや、最前より家名の自慢ばかり申しても、

御存知ない方には、正真の胡椒の丸呑、

白河夜船、さらば一粒食べかけて、

その気味合いをお目にかけましょう。


先ずこの薬をかやうに一粒舌の上に乗せまして、

腹内へ納めますると、いや、どうも言えぬは、

胃、心、肺、肝が健やかになって、

薫風喉より来り、口中微涼を生ずるが如し。

魚鳥、茸、麺類の食い合わせ、

その外、万病速攻あること神の如し。

さて、この薬、第一の奇妙には、舌の回ることが、

銭独楽 裸足で逃げ回る。

ひょっと舌が回り出すと、矢も楯もたまらぬじゃ。


そりゃそりゃ、そりゃそりゃ、廻ってきたわ、廻ってくるわ。

あわや喉、サタラナ舌に、カゲサ歯音、
ハマの二つは唇の軽重、開口さわやかに。

アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ。

一つへぎへぎに、へぎほしはじかみ。

盆豆、盆米、盆ごぼう、摘蓼、つみ豆、つみ山椒。

書写山の社僧正、

粉米の生がみ、粉米の生がみ、こん粉米の小生噛み。

繻子、ひじゆす、繻子、繻珍。

親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親嘉兵衛、
子嘉兵衛、子嘉兵衛、親嘉兵衛。

古栗の木の古切り口。雨合羽か、番合羽か。

貴様の脚絆も皮脚絆、我らが脚絆も皮脚絆。

しっ皮袴のしっぽころびを、三針はりながに
ちょと縫うて、縫うてちょとぶんだせ。

かわら撫子、野石竹。

野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。

一寸先のお小仏におけつまづきやるな。

細溝にどぢょにょろり。

京の生鱈、奈良生学鰹、ちょと四五貫目。

お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ茶立ちょ、
青竹茶筅でお茶ちゃと立ちゃ。

来るわ来るわ、何が来る、高野の山のおこけら小僧、
狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。

武具馬具、武具馬具、三武具馬具、
合わせて武具馬具、六武具馬具。

菊栗、菊栗、三菊栗、合わせて菊栗、六菊栗。

麦ごみ、麦ごみ、三麦ごみ、合わせて麦ごみ、六麦ごみ。

あの長押の長薙刀は、誰が長押の長薙刀ぞ。

向かうの胡麻殻は、荏の胡麻殻か、
真胡麻殼か、あれこそほんの真胡麻殻。

がらぴいがらぴい風車、おきゃがれ子法師、
おきゃがれ小法師、ゆんべも溢して又溢した。

たっぽぽ、たっぽぽ、ちりから、ちりから、つったっぽ、
たっぽたっぽ一丁だこ、落ちたら煮て喰を。

煮ても焼いても喰われぬ物は、五徳、鉄球、
かな熊童子に、石熊、石持、虎熊、虎きす。

中にも東寺の羅生門には、茨木童子が
うで栗五合掴んでおむしゃる。

かの頼光の膝元去らず。鮒、金柑、椎茸、定めて五段な,
そば切り、そうめん、うどんか、愚鈍な小新発知、
小棚の小下の、小桶に、こ味噌が、こあるぞ。

小杓子、こもって、こすくって、こよこせ。おっと合点だ。

心得たんぼの川崎、神奈川、保土ヶ谷、戸塚は、
走って行けば、やいとを摺りむく、三里ばかりか。

藤沢、平塚、大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、
早天早々、相州小田原とうちん香、
隠れござらぬ貴賤群衆の、花のお江戸の花ういろう。

あれあの花を見て、お心をお和らぎやという。

産子、這う子に至るまで、此の外郎のご評判、
御存じないとは申されまいまいつぶり。

角出せ、棒出せ、ぼうぼうまゆに、
臼、杵、すり鉢、ばちばちぐわらぐわらと、

羽目を外して今日お出での何れも様に、

上げねばならぬ、売らねばならぬと、

息せい引っぱり、東方世界の薬の元締め、

薬師如来も照覧あれと、ホホ敬つて、

ういろうは、いらっしゃりませぬか。



笑いの歌舞伎史
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